2010年2月 5日 (金)

EMS(銀ミラー仕様)レポート

昨夜、これまで使っていた天頂ミラー(ミードUHC仕様)EMS(銀ミラー仕様)を実際の天体で見比べてみました。望遠鏡の口径は40センチ、アイピースはナグラー26ミリで倍率は155倍である。

当日は強烈な寒波が日本列島に流れ込んでいて、ここ播磨自然高原でもときおり雪雲が通過するような天気だったが透明度は良かった。

最初に視野に入れたのはM42。観望記などを読むと、M42は大口径では淡いグリーンやピンク色に見えると書いてある。私はどう頑張っても白黒にしか見えない 。個人差や年齢からくる網膜の老化もあるかもしれないが、この星雲が銀ミラーでどのように見えるかは大変興味があったのだ。

まずはこれまでの天頂ミラーで約30分間観望した。スケッチを取りながら見え方などをメモし、頭の中にイメージを焼き付けるようにした。次に松本式ミラーで同じように時間をかけて星雲をスケッチしていった。

結果はどちらも甲乙付けがたしといったところだった。最後は特徴的な星域を選んで何度も取り替えながら見比べたが、暗い恒星はどちらも切れ味鋭く同じように見えていた。トラペジウム付近のガスのディテールも変わらない印象だった。残念ながら銀ミラーになっても色は感じられなかった。

次に視野に入れた天体はしし座にあるNGC3190付近の銀河群。あのパロマ天体写真集で有名な領域である。このあたりの系外は1113等で、眼視では私の望遠鏡の限界に近い天体になる。時折うす雲が通過していく条件だったので断定的なことは言えないが、松本式ミラーの方が少し大きく見えて(NGC319Photo_703185)、暗い天体(NGC3187)まで確認できた。

特にNGC3187(13.4)は何度もそらし目をしてやっと存在がわかるという系外だったが、松本式ミラーの方だけ確認が出来た。

1回反射の天頂ミラー(99%の反射率を誇るミラー)2回反射のハンディがある松本式を見比べるというのはフェアではないが、私にとってはどちらがより明るく見えるかが大事であった。結果からみると、2回反射を感じさせない明るさが銀ミラーにはあるということが確認できたことは大変うれしいことだった。

もちろん正立のメリットも大きい。確認用の The Night Sky Observer's Guide」で天体の位置がここだと確信できると不思議と見えてくるのだ。

この松本式銀ミラーと出会ったばかりだけど、私の観望の楽しみを広げてくれるような気がしてワクワクしている。

これまでの常識を打ち破って正立ミラーを実用化し、さらには銀ミラー化にまで挑戦された松本さんに心 からの敬意を表したい。

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2010年1月28日 (木)

マツモト式正立ミラー(銀ミラー仕様)

私はシュミカセの望遠鏡に天頂ミラーを付けて暗い星雲星団を主に観望しているが、視野に見えている天体を写真やスケッチで確認しようPhoto_2とすPhotoると、自分が見ている天体が裏像であることが気になっていた。また星の配置から天体を見つけようとしたとき、裏像ではどこを見ているのかよくわからないときがあるのだ。だからといって天頂ミラーなしでは観望できない。天体を正立で見ることは出来ないのだろうかと思っている中でたどり着いたのがEMSだった。

EMSを販売している松本さんは、鳥取でめがね店を経営されている。天文ファンでもある松本さんが、鏡像への疑問から新しい正立ミラーを考案し、特許を取得されているのだ。Photo_3

実はこのEMSはかなり前から知っていたが、構造上、天体の光を2回反射するための光量ロスが大きい。月・惑星なら問題ないが、私のような暗い天体中心の観望にはあまり向かないのではと思っていたのだ。

ところが、最近になって松本さんのHPで銀ミラーのことを知り、そのデータ結果に大変興味を持ったのだ。

アルミでなくて銀ミラー?最初は銀のスプーンのようにすぐに黒ずんでしまうのではないかと思ったが、そうならないように出来るらしい。そして何よりもデータが示す銀ミラーの反射率の素晴らしさには驚く。

我々はメーカーの数値を鵜呑みにする傾向があるが、アルミの反射率というのはすべての波長に対して高いわけではないようだ。1度反射のアルミ天頂ミラーより2度反射の銀ミラーの方がトータルの反射率が高いという結果になっていたのだ。

こんなにすばらしい反射率なら、どうして他の望遠鏡メーカーはこれまで銀ミラーを使わなかったのだろうかという素朴な疑問が依然として残る。でも、まあ裏像の問題から開放されるだけでも十分だと思ってEMSULの購入を決めた。

注文してから5日目で商品は届いた。商品を確認してみると、かっちりと作られていて品質もよさそうだった。個人が手作りしているレベルではなく、「製品」になっていた。ただし、品質保証書や取扱説明書はない。

すぐに40センチで銀ミラーの効果を確認したかったが、あいにく今は月がある。とりあえず自宅にあるテレビュー76に取り付けて月や火星を観望した。

月を100倍程度で観望すると、ちょうど直線壁が視野に入っていたが、写真のとおりに見えるのが新鮮でうれしかった。こうして正立で天体を見てしまうと、いままで自分が見てきた像は何だったのだろうと思えてくる。いつの間にか、天体望遠鏡ではこういう像だと受け入れてしまっていたようだ。

困ったことはというと、望遠鏡を動かそうとしたとき、正立になっているのに裏像の状態の方向に手が勝手に動いてしまうことだった。長年の習慣とは恐ろしいものである。

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2009年12月 9日 (水)

振動

ミードETX105ECは発売されてすぐに購入した。私はこのデザインが好きでアクセサリーのような感覚で机のそばにずっと置いていた。

ここ数年は自宅で月・惑星を中心に観望するようになり、この望遠鏡をまた使うようになった。光学系は価格からすると大変優秀だ。マクストフということもあって月や惑星に向いている。Photo 特に火星は不思議なことに、私の所有する望遠鏡の中で一番良く見えるのだ。火星は接近中といってもまだまだ遠い。そこで今は18ミリの接眼鏡に2.8倍バーローを付けて224倍で見ているが、10センチでも極冠や模様がしっかりと見える。

15センチニュートンは月には抜群の解像力をみせるが、火星の模様はあまりよく見えない。私の持っている接眼鏡では最大倍率が218倍にしかならないので、表面輝度が高い火星では倍率が低すぎるのかもしれない。それともニュートン式のスパイダーがコントラストを下げているのかもしれない。

そんなことで、今はこの望遠鏡で火星を見ることが多くなっているのだが、この望遠鏡の欠点は架台にある。架台に強化プラスチックが使われているので仕方ないが、ちょっと触っただけでぶるぶると大きく震え、足を動かすとまたぶるぶると振動が続く。振動を増幅するなんとも弱い架台なのだ。だからこの望遠鏡で観望するときは息を潜めるような感覚で見るようになってしまう。

先日、夜中に200倍を越える倍率で見ていて別の振動に気付いた。家から約50メートル離れたところにある市道を走っている車の振動である。大型のトラックらしき車が来たときにはかなり大きな振動になり、普通の車が通過しても震えるのがわかるのだ。地面は振動を結構伝えるようである。街中の惑星観測にはシーイングとともに、この小さな振動も模様を見えなくしている原因かもしれない。

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2009年11月25日 (水)

小さな望遠鏡の楽しさ

Photo大きな望遠鏡を使っていると、小さな望遠鏡ならではの良さがあることに気付いた。何がいいかというと、ちょっと星を見たいなと思ったらすぐに取り出せる手軽さがいい。しかも、いきなり出しても月や惑星がよく見えるというのは小さな望遠鏡の一番いいところ。これが10センチでは30分、15センチになると1時間は出したままにしておかないと筒内気流の影響でよく見えない。

自宅では7.6センチの屈折望遠鏡に双眼装置を付けて、月を観望するのにはまっている。見ようかなと思ったら、組み立てたままの望遠鏡をベランダに出すだけなので、毎日でも全然苦にならない。少しの晴れ間でも見ようと思うし、23分で片付けてしまうことだってある。軽くて小さいというのも立派な性能だと実感している。

また、小さな望遠鏡のほうが美しいと感じる天体もある。散開星団は大口径では大きく広がりすぎて面白くなくなる。月・惑星も小口径のほうが楽しいかもしれない。大口径で観望してもよく見える日なんてめったにない。

小さな望遠鏡で観望していると、大きな望遠鏡が欲しくなってくる。しかし、出し入れの大変さやシーイングの影響で見る機会は逆に減っていくように思う。

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2009年8月17日 (月)

イーソス観望

Photo_2 14日は夜も快晴になった。「夜も」と書いたのは、この夏は天候不順で、昼間晴れていても夜になると雲が湧いてきて曇りになってしまうことが多かった。

翌日も仕事が休みだったので別荘に行き、40センチ望遠鏡で夜の8時から明け方まで、思う存分観望をした。しかも夏にしては透明度がよく、シーイングもずっと安定していた。これだけ好条件で天体を見たのは久しぶりである。

今回はイーソス17ミリで夏の天体がどのように見えるかを確認することだった。結論からいうとイーソスは素晴らしい。お気に入りのナグラー26ミリと比べると、倍率が高いだけにバックの夜空がさらに暗くなり、天体が見やすくなる。さらに、視界が広いのにナグラー以上に収差が少ないので気持ちがよい。いつのまにかほとんどの天体をこのイーソスで観望していた。

一番感動したのは、明け方に見た月だった。イーソス17ミリを40センチに取り付けると倍率235倍、視野角0.4度になる。これで見る月はいままで経験したことがPhoto_2ない素晴らしい眺めだった。倍率235倍はかなりの高倍率である。普通の接眼鏡だったら月面の一部しか見えないが、そこは100度の見掛け視界を誇るイーソス。高倍率でありながら月全体の半分以上が見えているのだ。そのため、全体が見えているのに小さなクレーターや谷、しわの詳細もよく分かる。しかも、この日は明け方まで抜群のシーイングだったこともあって、大気の存在を感じさせないような月面を見ることが出来た。

ハイビジョン放送を液晶の大画面で初めて見たときのような新鮮な感動と感覚といったら分かってもらえるだろうか。目で見ることにこだわるならイーソスは必須であると断言しておこう。

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2009年8月10日 (月)

イーソス17ミリで初観望

2 せっかく買ったイーソスでの天体観望は、天気が悪くて別荘に行っていないので、まだ実現していない。

先週の満月の日は、少しだけ晴れ間が広がっていた。透明度もよくなかったが、自宅でテレビュー76にイーソスを付けて観望してみた。これで見ると倍率28倍・実視界3.5度のリッチフィールド望遠鏡になる。

初めてこの接眼鏡を覗くときはちょっと違和感があった。普通の接眼鏡は小さな見口に目を近づけて覗くような感じになるが、このイーソスは見口のレンズが巨大で、レンズに直接目をくっつけるようにしなければならないのだ。しばらくはレンズにまつ毛が触れそうで戸惑った。

それにしても100度の視界は広い。これで星空を見ると、誰でもその広さを実感するが、ツアイスサイズの接眼鏡で長年見てきた人は間違いなくびっくりするだろう。宇宙船の小さな窓から宇宙を見ているのと、窓から直接顔を出して見ているくらいの違いがある。接眼鏡から覗いているという感覚が消えて、宇宙に自分自身がいるような感覚になる。この感覚は双眼装置で覗いたときと似ているが、片目でこういう感覚になるのは初めての経験だった。さらに驚いたのは、これだけ視野が広いと端の方では収差が気になるのではと思っていたのだが、私のレベルではピンポイントといってもいいくらいだった。

さらに15センチ反射も引っ張り出し、イーソスを取り付けて観望した。この反射望遠鏡はF5と短焦点なので、普通の接眼鏡ではコマ収差がかなり気になっていた。ところがイーソスで観望すると、100度の広大な視野の端もコマ収差がほとんど気にならないレベルになっている。買ったばかりで少し「あばたもエクボ」状態になっているのかもしれない。次は暗い夜空でじっくりと見てみたい。

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2009年8月 2日 (日)

イーソス

観望派を自称する私にとって今一番気になっていたもの。それはテレビュー社のイーソス。見掛け視界が100度という、圧倒的な広さを誇る新しいタイプの接眼鏡だ。価格は98,000円でこちらのほうも圧倒的に高額だ。ユーザーのインプレッションをチェックすると、「これで見るとあまりの広さに接眼鏡の存在が消えてなくなり、自分が宇宙に漂う感覚になる」とか「イーソスを見た後でナグラーを見ると狭く感じる」等、80度の超広角ナグラーで充分と思っていた私の心に引っかかるコメントがドンドン出てくるのだ。

最近、イーソスシリーズで最も長焦点となる17ミリが発売された。これなら私の望遠鏡で235倍となり、ディープスカイ観望にも使える倍率となる。13ミリとPhotoか8ミリでは、いくら視界が広くても倍率が高すぎて意味が無いと思っていただけに、ぜひ手に入れたいものになった。接眼鏡は丁寧に扱ってやると一生使えるものである。どうせ買うなら早く手に入れて長く使った方が楽しめるというものだ。

7月に注文を入れたところ、品切れで、今日になって自宅に届いた。Photo_2箱から取り出して接眼部の見口を見ると、その巨大さに驚く。あまりに広いので、覗くというより目をくっつけるような感覚だった。

比較のために、ほとんど同じ焦点距離の18ミリオルソと並べて撮影してみた。その巨大さがわかると思う。8月になっても天気が悪いし、イーソスのインプレッションはまだ先になりそうである。

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2009年6月16日 (火)

スマートマウントの設定

3_2 この望遠鏡を購入してからの3年間で、メジャーな天体からマニアックな天体までひととおり観望してきた。これからは40センチの口径と暗い空を生かして、彗星の追跡と系外の観望(スケッチ)をしていこうと思っています。もしかしたら中途半端になってしまうかもしれませんが。

暗い彗星を観測しようとしたとき、私の望遠鏡の最低倍率である100倍の視野のどこかに入る程度の導入精度は欲しいと思っているが、たまに外れてしまうことがある。明るい天体ならファインダーで確認してすぐに修正できるが、暗い天体ではそうはいかない。

系外星雲は観望を終えた天体からできるだけ近くの天体を導入することで対処していた。彗星の場合はこの方法を使えないので、出来るだけ導入精度を高めることが必要になってきた。

そこで昨夜はちょっとの晴れ間を利用して、導入精度向上につながるスマートマウントの設定をした。やることは簡単で、望遠鏡が各方向に動き、次々と指示する明るい恒星が機械の誤差で少しずれているのを、正確に視野の真ん中に導入してやるだけなのだが、これまで何度チャレンジしても途中でエラーになって失敗していた。そこで、考えられる原因を2つに絞り込んだ。ひとつは指示している恒星とは違う星を導入している可能性。ファインダーで見たとき、たいていは十字線のすぐ近くに明るい星は一つしかないのだが、たまに2つ以上あって、どっちの星が指示された恒星なのか迷うときがあった。もうひとつは、正確に真ん中に入れたつもりが実際はミラーのたわみでずれている可能性。ピントノブを少し動かすだけで視野の星がかなりずれるので、無視できないと思うようになった。対策としてやったことは、どちらなのか迷うような星を指示してきたときはパスをすること。もうひとつの問題は、ミラーを固定して、最初からやり直すことにした。

しかし、残念なことに昨夜は雲が出てきて設定の途中で止めてしまった。

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2009年5月17日 (日)

極軸の再調整

Photo 40センチの望遠鏡を設置して3年が経過した。最近は自動で天体を導入したとき、目標天体が中心から少し外れるようになっているのが気になっていた。原因は極軸の狂いとスマートマウント機能の調整不足と思っている。天体ドームの基礎は頑丈にしたつもりであるが、少しずつ陥没しているのかもしれない。まずは極軸の再調整をすることにした。

ネットで調べると、天頂付近の星を追尾し、そのズレの方向で修正していくのが大きな望遠鏡では一番良い方法であると書いてあった。確かに私のシュミカセ望遠鏡は向きによってミラーが微妙に傾く。向きを変えると星も少しずれるのでかえって悪いほうに修正してしまうことも考えられる。今回はこの方法で調整することにした。

そこで、月明かりのあるこの時期を選んで別荘に行き、十字線入りのアイピースで天頂付近の星を追尾しながら方位と仰角を修正した。星のズレからチェックしてみると、天の南極からほんの少し東にずれ、仰角も微妙に高くなっていたようだ。実際の星を見ながら少しずつ追い込んでいくことでほぼ満足いく極軸合わせができた。これだけで3時間も費やすことになったけど、月明かりの夜なので心置きなく調整に専念できた。次はスマートマウント機能の調整を行おうと思っている。

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2009年3月14日 (土)

ミードの危機

Photo ミード社といえば、アマチュア向けの天体望遠鏡メーカーとしては世界最大の会社だと思う。そのミードがどうも経営危機に陥っているらしい。このニュースは数年前から流れていた。実際、発売されて間もない望遠鏡が発売中止になり、機種も絞られてきたので経営的に苦しいのは感じていた。さらにこの2月には、日本の望遠鏡販売店が一斉にミード製品の販売を中止してしまったのだ。

パソコンの故障で、1ヶ月ぶりに日本のミード総代理店であるミックインターナショナルのHPを見ようとしたら、無くなっていたのにはショックを受けた。どうやらミックは廃業もしくは不幸な結果になったようである。

私の40センチはこの会社の望遠鏡である。この望遠鏡は自動導入機能などのハイテクが持ち味で、シュミカセとしては光学性能も優れていて、自分の人生最後の望遠鏡として選んだのだ。故障したときの基盤が手に入るのかどうか、そして修理ができるのか心配である。望遠鏡は長く使用するだけに、デザインや価格だけでなく、メーカーのサポート体制も重要なポイントだということを思い知らされることになった。

今後、どこが代理店として引き受けてくれるのか気になるところだ。少なくとも販売をしたメーカーの責任として、日本でのサポートができるようにして欲しい。大きな天体望遠鏡マーケットと思っていた日本も、実は大して売れていないということだろうか。

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